金研研究会
~強相関物質における創発物性研究の現状と将来展望~
金研研究会 ~強相関物質における創発物性研究の現状と将来展望~
趣旨説明
強相関電子系の研究は、高温超伝導体の発見以降、遷移金属酸化物を中心としたモット絶縁体近傍に現れる多彩な電子相の研究が行われてきており、特にマンガン酸化物における超巨大磁気抵抗効果やフラストレーション格子におけるスピン液体相などの研究が注目を集め、最近ではマルチフェロイクスと呼ばれる磁性強誘電性やスキルミオン格子と呼ばれるトポロジカル磁気構造体の研究へと発展してきた。また、一方で、磁性体の微細デバイスの研究も、金属多層膜における巨大磁気抵抗効果の発見を契機に「スピントロニクス」分野として発展しており、スピン流と呼ばれる概念のもと理解が進んできた。さらには、トポロジカル絶縁体やマヨラナフェルミオンなど物質中のトポロジーによって現れる創発物性の研究も近年盛んに行われてきた。これらの物理現象の理解はかなり進んでおり、基礎物性物理としては一区切りをつけて次の展開を考える時期が来ている。本研究会では、分野の次代を担う30代、40代の新進気鋭の研究者を招いて分野の次の展開を議論する。
世話人:小野瀬佳文、塚崎敦
13:00- 初めに
セッション1: 対称性と新現象
13:10-13:50 戸川欣彦 “カイラル物質が生み出す偏極現象”
13:50-14:30 速水賢 “対称性適合多極子基底を用いた新規物性開拓:スピン分裂・非相反伝導・フェロアキシャル秩序”
14:30-14:50 休憩
14:50-15:30 三輪真嗣 “キラルスピントロニクスの新奇デバイス物性”
15:30-16:00 新居陽一 “対称性の破れとトポロジーに起因したフォノン応答の開拓”
16:00-16:20 休憩
セッション2: 新物質と新現象
16:20-17:00 酒井英明 “ブロック層制御による磁性・極性トポロジカル物質の開拓”
17:00-17:40 野本拓也 “反強磁性体の磁気構造制御と探索に関する理論研究”
17:40-18:20 野村悠祐 “ニッケル酸化物超伝導体の電子構造と物質デザイン”
セッション3: ナノ物質・ナノ構造・ナノデバイス
9:30-10:10 井手上敏也 “ファンデルワールスナノ物質の対称性制御と物性開拓”
10:10-10:50 横田紘子 “ドメイン境界における極性構造評価”
10:50-11:10 休憩
11:10-11:40 藤原宏平 “アモルファス磁性体薄膜で発現する巨大磁気輸送特性”
11:40-12:20 浅場智也 “モット半導体の自己集積型原子量子細線および接合の作製”
12:20-13:50 昼食
セッション4: エキゾチックスピン系
13:50-14:30 堀田知佐 “ハバードスカーミオンの起源と性質”
14:30-15:10 那須譲治 “磁性絶縁体で現れる準粒子励起の時空間ダイナミクス”
15:10-15:30 休憩
15:30-16:00 南部雄亮 “van der Waals磁性体におけるトポロジカル転移”
16:00-16:40 高木里奈 “多軌道強相関系におけるトポロジカル磁気相の開拓”
16:40- 終わりに